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中小企業における企業ブランディング(コーポレートブランディング)の重要性とその進め方

ブランディングは大企業だけのものではありません。中小企業もブランドを確立することは可能です。むしろ、ブランディングによってオリジナリティを印象づけることは、中小企業にとってこそ必要です。なぜ中小企業にブランディングが必要なのか、大企業のブランディングとは何が違い、具体的にどのように進めていくべきなのかをまとめました。

 

中小企業にブランディングが必要な理由

国内に中小企業は何社あるか、ご存知ですか?
日本の企業の99.7%、数にして約430万社は中小企業であると言われています。

乱暴な言いかたをすれば、中小企業は430万社の競合がいるということです。そのなかで勝ち抜いていくためには、今、市場で何が起こっているのか、クライアントの要求はどこにあるのか、冷静に自社のおかれた状況を見極め、他社と差別化していかなくてはなりません。

そこで役に立つのがブランディングです。ブランド力があれば、多数の競合のなかで埋もれることなく、顧客に選ばれ続けることができます。

ブランディングというと、露出を増やして知名度を高めることや商品パッケージや店舗デザインに高級感を持たせることなどと誤解されやすいのですが、顧客に他とは違う価値を認めてもらうことがブランディングの本質です。
言い換えるならば、顧客のなかでブランド名と商品やサービスの内容が結びついており、顧客が商品やサービスの特長について正しく理解していて、他よりも高くても買ってくれる状態をつくることです。

「やっぱり、あそこの製品じゃなくちゃダメだ」「こういうサービスをやってるのはここの会社だけなんだよね」といったように価値が認められていれば、値付けやキャンペーンをする必要がないため、高い利益を確保できます。また、商品やサービスの内容が正しく理解されていれば、合わない客が来ないため、業務効率も高まりますし、顧客側も期待した通りの商品やサービスを受け取れるので、信頼が高まってリピートも増えます。
しっかりブランディングをできれば、目先の売上を立てることに忙殺されずに済むのです。

「安くしますよ」「お得ですよ」というセールスポイントには一時的な効果しかありませんし、顧客側も安いのが当たり前になると感覚が麻痺してきて、さらなるお得感を求めます。そうなれば体力のない中小企業には厳しいでしょう。営業マンや販促費を増やせない中小企業こそ、顧客に自分から選んでもらえるようなブランドをつくること、すなわちブランディングが必要なのです。

 

企業ブランディングとは何か

プロダクトブランディングやCIデザインとの違い

商品やサービスを対象に行うプロダクトブランディングと異なり、企業ブランディングは企業イメージや企業価値を向上させるために行います。事業を行っていれば、とりたててブランディングをしなくても、提供する商品やサービスに応じて、顧客が自然と特定のイメージを抱くようになります。ですが、そのイメージは必ずしも企業にとってメリットがあるものとは限りません。そこで受動的にイメージを持たれるのではなく、企業側から積極的にアピールしていくことでブランド価値を高めていくのが、企業ブランディングです。

企業ブランディングは、一時よく言われたCI(Corporate Identity コーポレートアイデンティティ)とも異なります。企業ロゴの制作など、共通する業務は多くありますが、目的が違うのです。

CIデザインはガイドラインをつくって企業が使用するロゴや制作物などのデザインを統一することで、企業の独自性を明確にしていきます。一方、企業ブランディングでは、自社の魅力をひき出すようなメッセージをそこに込めることで、顧客のイメージを変えていきます。

アイデンティティは企業が自社に対して持つもの、ブランドイメージは顧客が企業に対して持つものと考えるとよいでしょう。

 

大企業のブランディングと中小企業のブランディング

大企業では、広報やマーケティング部門に専任のブランド担当者がいて、ブランド戦略の立案や企業ロゴの制作などの業務を行っています。そうした活動によって企業ブランドを確立させ、社会的な信頼を得たり、業績を向上させたり、社員のやる気をひき出したりするためです。

大企業の場合はブランディングに予算をつけられるだけの豊富な資金があり、専任の担当者を雇用できるだけの余裕があるため、ブランドコンサルティングやクリエイティブエージェンシーなどを活用しながら、大掛かりなブランディングを行います。

けれども、中小企業の場合はブランディングに割ける予算が少なかったり、担当者は他の仕事と兼任であったりします。大企業と同じアプローチでは投入できるリソースが少ない分、効果も弱まってしまいます。中小企業がブランド化を図る際には資金や時間を効率よく使い、自社の良さをひき出していくことが大切です。特に、インナーブランディング(※)は顧客の満足度があがる、採用がしやすくなるといった効果もあるので、中小企業にはおすすめです。

限られた予算で効果をあげるには、きちんと順を追って調査分析やブランド定義を行い、戦略的にコミュニケーションを展開していく必要があります。経営理念までたちかえり、自社の強みを見つけるプロセスは地味ではありますが、時間をかけるべきポイントです。揺るぎないブランドはその背景に必ず、その企業ならではのストーリーがあります。一度、良いブランドイメージが定着すれば効果は長く持続しますので、正しい順序でブランディングを行いましょう。

※インナーブランディングとは
社員を対象にブランドの浸透を図るものです。詳しくはこちら

 

企業ブランディングの進め方

企業ブランディングを行う手順は大まかに、次のような流れになります。

(1)自社の現状把握→(2)ブランド定義→(3)ブランド戦略の立案→(4)ブランディングツールの開発→(5)ブランド運用

それぞれのステップについて、以下で詳しく解説していきます。

 

  1. 自社の現状把握
    企業ブランディングを行うにあたって、まずやるべきことは対象となる企業が持つ特性や実績を十分に理解することです。取り扱っている商品やサービス、対象顧客や流通経路など、企業の全体像を把握します。
    同時に、市場での立ち位置など、自社の置かれた状況についても理解を深める必要があります。適切なブランディングにつながります。企業への理解を深めることで、目指すべきブランドの方向性が見えてくるからです。

    現状を把握するための調査には、売上実績などの現状のビジネスを対象として調査するビジネスオーディット(事業展開状況調査)と、顧客との接点で使われているあらゆるツールを対象として調査する、デザインオーディット(デザイン展開状況調査)とがあります。両調査から、自分たちのブランドが現在どのように展開され、ユーザーにどう認知されているかを把握します。
    徹底的に調査してみると、意外とアピールしているつもりで顧客には知られていなかったサービスがあったり、商品のイメージにふさわしくないデザインを使っていたりするかもしれません。

    自社の状況を分析する方法としては、3C分析や4P分析、SWOT分析といったものがあります。これらによって、「いま自分たちはどのようなポジションにいるのか」「競合はどこに位置しているのか」「自社の強みと弱みは何か」「どのような方向性で差別化していくべきか」など、企業内外の状況を分析し、多面的な視点から、自社の進むべき方向性を吟味、検証していきます。

    このような調査分析を行う際には、第三者の視点から客観的にブランドを把握できるブランディング会社を活用するのもよいでしょう。専門的な知識を持ったブランディング会社であれば、より客観的にブランドの対象を理解して、今ある経営資産を評価できます。社内のブランドチームとは違った、第三者の観点からの提言は、新しいブランド価値の発見にもつながるでしょう。

  2. ブランド定義
    調査分析を行うと、他社にはない自社の強みが見えてきます。次の段階では、これをいかに顧客にアピールしていくかを考え、ブランドコンセプトにまとめていきます。
    目指すブランド像は経営者や担当者の趣味嗜好で決めてはいけません。調査分析の段階で把握した顧客の認識を踏まえて、自社の良さが伝わるブランドを目指しましょう。
    地域密着型で親しまれている会社がグローバル企業の真似をしても、顧客の印象は強まりません。伝統的な方法で顧客に安心感を与えている会社がベンチャー企業のような勢いでアピールをしても違和感が生まれるだけです。
    顧客に認められていた価値をベースに、自社の魅力を考えてみてください。

  3. ブランド戦略の立案
    続いて、定義したブランドをどのように伝えていくかを計画していきます。戦略展開には計画変更がつきものです。定常業務との兼ね合いなども加味しながら、妥当な実行案を練り上げていきます。

  4. ブランディングツールの開発
    ブランディングツールとは、目指すブランド像を表現するのに使われる、Webサイトやロゴなどの制作物です。制作物はいくつかのデザイン案から選択することになりますが、この際も必ずブランドコンセプトに沿ったものにしましょう。

  5. ブランド運用
    ブランド名やブランドロゴが完成したら、会社案内や商品パンフレット、技術資料など、あらゆるツールにそれを使うようにします。名刺や封筒、コーポレートサイトからオフィス内の掲示物まで、例外はありません。顧客との接点が多い営業担当者だけでなく、人事採用担当や庶務まで、会社全体が一丸となって、ブランドが普及するように努めましょう。ブランドを目にする機会が増えるほどブランドが浸透して親しみやすくなります。
    ただし、ブランドを軽んじるようなことをしてしまうと、逆効果です。ブランドコンセプトを社員一人ひとりに説明し、共通の認識を持つことが重要です。ロゴやデザインの取り扱いにするガイドラインを用意しておくのもよいでしょう。

    また、ブランディングは継続的に行うことが重要です。プロジェクト終了後もコンセプトに沿ったコミュニケーションを続け、ブランドを育てていきましょう。定期的に市場のニーズと合っているか、時代の変化に対応できているかを見直すことも大切です。打ち出したいブランド像と顧客のイメージとがかけ離れてきてしまった場合には、リブランディング(※)も検討してみてください。

    ※リブランディングとは…
    既存のブランドを時代や顧客の変化に応じて、再生することです。詳しくはこちら

 

以下の図は当社が提唱する5Core methodのフロー図です。こちらもブランディング活動の流れの一例として参考にしてみてください。 

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ブランディングに成功した中小企業の事例

企業ブランディングの事例は数多くあります。ブランディングに成功して世界的に有名になった企業もありますし、上手くいかずにブランドがなくなってしまった事例もあります。先行する事例はこれからブランディングを始める企業にとって良いヒントになりますが、メディア等でとり上げられる事例は大企業が多く、中小企業の事例はあまり見つからないかもしれません。

以下に当社がブランディングをお手伝いした中小企業をご紹介しておきます。

  • センターピア株式会社

    サーバーラックの専業メーカーからオフィスのITインフラに関するソリューションベンダーとしてブランディングを行いました。
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  • コシオカ産業株式会社
    新規事業開発で、日用雑貨の企画製造を“モノコト”のブランド名でサービス化。モノづくりの上流工程から受注できる強みを活かしました。
    コシオカ産業株式会社ロゴアドレス入(新)-01
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各事例については上記リンクに紹介がありますが、さらに詳しく知りたい方はこちらより当社までお問い合わせください。

 

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