ブランドの名称やロゴマークを作るだけで、ブランドが顧客に浸透する訳ではありません。顧客の期待や信頼に応えられるように、一貫した製品やサービスが提供できるような体制が整っていなくてはなりませんので、企業で働く従業員がブランドを意識して働くことが重要となります。
往々にしてブランドを設計する一部の社員だけブランドのことを理解して、それ以外の社員はあまり自社のブランドのことを深く理解しない状況に陥りがちですが、そのようなことがないように、企業に内部にブランドを構築するインナーブランディングが重要となります。インナーブランディングは、ブランドに関する社内の意識を統一して、従業員の行動とブランドの方向性を一致させるものです。一般的な顧客向けマーケティングのアウターブランディングに対して、インナーブランディングはあまり対外的に宣伝されないために、その内容や重要性を認識する機会が少ないのですが、ブランディングを成功させるためには欠かすことのできないものです。
インナーブランディングは、ブランドの内容や価値を認識させる社員教育が始まりとされています。1990年代初期に初めてブランドの構築が行われていましたが、今とは比較にならないような小さな規模で企業活動が行われていたために、ブランド名やロゴマークを決めるだけでも、ブランディングの成果が出ることも珍しくありませんでした。しかし、企業の活動内容が拡大し複雑化するようになると、顧客の対する一貫したサービスが提供できないと、ブランドが構築できない状況となりました。そのため、ブランドを効果的に構築するためには、従業員の意識を統一するインナーブランディングの必要性が認識されて、社内に対してもブランドを構築するようになったのです。
また、インナーブランディングは、社員が誇りとやりがいをもって働くことができる環境をつくる効果が期待できます。社員が活き活きと働くことで、より良い商品やサービスを提供することできるようになりますし、社員が離職するのを防ぐことにもつながります。そのため、ブランドを構築している企業では、インナーブランディングを徹底することによって、より効率的な企業運営ができるようになるのです。
できるだけ安い賃金で従業員を働かせることだけを考えている経営者もいますが、そのような姿勢では従業員にブランドの本質を認識されることは難しく、有効なブランドを構築することは極めて困難になります。社員を採用する段階から、きちんと企業が構築しているブランドのことを説明して、一緒にブランディングをして行けるような人を採用するべきでしょう。
現在ブランディングが成功している企業の従業員を見てみれば、そのブランドに相応しい対応をしていることが分かります。このような対応は、単にマニュアルなどを覚えて仕事するだけでは不可能なであり、インナーブランディングによってブランドの本質を理解して自発的に行動をしなくてはできないことです。
企業活動においては、事前に計画できるようなことばかりではなく、突発的な出来事も頻繁に発生しますので、そのような時にブランドの方向性と同じ行動を素早くとれるように従業員を教育することが、大切となります。そして、自社の社員だけではなく、仕事を発注する協力会社に対しても、ブランドの理解をしてもらうように努力をしなくてはなりません。
どのような内容であれ、自社の商品やサービスの一部を担ってくれる協力会社のすることは、顧客からはブランドの一部と認識されますので、ブランドの方向性と異なることがないように注意をする必要があります。顧客の視点に立って、ブランドの構築をすることがブランディングにおいては極めて重要となるのです。
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