ブランドにも良い年の重ねかたがある
人が年をとるのと同じように、ブランドも年をとっていきます。時代と合わなくなってしまった老舗ブランドは、ともすると「歴史だけはある会社」になってしまいます。長い間、事業が続いているのは尊いことですが、その間にお客様も取引先も年老いているということは忘れてはなりません。技術の発達やライフスタイルの変化によって、顧客の消費スタイルも変化します。どんなに良い商品やサービスでも、まったく変わらないブランド体験を提供し続けるためには、時代や顧客の変化に合わせて、従来のスタイルを変えるべき場合もあるのです。
たとえば、京都の有名なお茶のブランド「辻利」。お茶やお茶菓子といった伝統ある商品はそのままにパッケージを現代風に変えることで、より広く受け入れられるようになりました。スウェーデンのセブンイレブンでは、コーポレートカラーを使いながらパッケージデザインを変え、コンビニコーヒーのイメージを刷新した事例もあります。
さすが、歴史のある会社は違う。そんなふうに認識されるためには、既にあるブランドイメージを活かしながら、必要に応じてリフレッシュしていくべきなのです。
このように、新たにブランディングをし直すことをリブランディングといいます。時代に合わせたリブランディングで、老舗ブランドとしての風格を保ちましょう。
歴史を断ち切るのか、歴史を活かすのか
長い間、使われてきたブランドのデザインやコンセプトに手を加えることには抵抗もあるでしょう。過去にはそれで成功し、そのお陰で今まできているのですから。それに、効果がでないからといって安易にブランディングを変えてはいけないという意見もあるかもしれません。しかし、それはブランドが売上や業績に貢献していればこその話。現状のブランドイメージが現在や今後の業績に貢献していないなら、いつまでも過去をひきずってはいけません。
リブランディングを行なえば一時的には費用も発生しますし、顧客が戸惑う可能性もゼロではありませんが、中長期的に見れば、時代に合わせてブランドを最適化する方がメリットは大きいでしょう。
リブランディングで変えるのはデザインやコンセプトにとどまりません。企業の持つ複数のブランド群を総称して、ブランドポートフォリオといいますが、これも時には見直しが必要です。社内では別物と認識されている複数のブランドが実は、ターゲットが重なっていて売上を食い合っていたということもあります。機能や内容が似通っていて、売上や顧客の反応をみると、顧客に違いが伝わっていないといったこともおこり得ます。企業として最適なポートフォリオを維持するには、ブランドの統廃合も必要です。
ブランドは企業の成長に貢献してこそ、守るべきもの。すでに一貫したブランドイメージが確立できているのなら、環境の変化に応じてブランドのみせ方はどんどん変わっていっていいのです。
リブランディング最大のメリットとは
リブランディングが通常のブランディングと大きく異なる点は、既にブランドがあるということです。新たなブランドを立ち上げる場合に比べて、既存の資源を利用できるため、資金や労力を節約できます。
まったく何も知られていないゼロの状態からブランドを認知させ、記憶させ、印象をかたちづくるまでには時間もお金もかかります。既にブランド化されている商品やサービスがあるならば、これを活用しない手はないでしょう。
長く販売されてきたブランドには親しみを持っている顧客も一定数いますから、慎重に検討する必要はあります。けれども、特定の顧客がいつまでも同じだけ買い続けるとは限りません。変化に応じて企業業績に最も貢献できるようにブランドをチューニングすることは、昔のまま変わらないでいることよりもずっと大切なことです。
具体的なリブランディングへの取り組み方はこちら > http://ftl3.sakura.ne.jp/re-branding-2/