『彼らの人生から得た 何万ページにもなる情報から 分かった事は何でしょう？ それは富でも名声でも 無我夢中で働く事でもなく 75年に渡る研究から はっきりと分かった事は 私たちを健康に幸福にするのは 良い人間関係に尽きるという事です。』

心理学者　ロバート・ウォールディンガー

 

一生を通し、私達を幸福で健康にするものは何でしょう？名声や富 ―そう考える人はたくさんいます。しかし、心理学者ロバート・ウォールディンガーに拠ると、それは間違っているのです。75年に渡る成人発達に関する研究のディレクターであるウォールディンガーは、真の幸福と満足感に関する無類のデータを基に、この研究結果が私達に教える３つの重要な教訓と、昔からの知恵、幸せな長寿の秘訣について語りかけます。

TED×BeaconStreet　「人生を幸せにするのは何？最も長期に渡る幸福の研究から」　Robert Waldinger

 

 

 

研究結果から得られた重要な教訓１

「社会的なつながりは我々にとって重要で、孤独は人を殺す。」

 

研究結果から得られた重要な教訓2 

「友人の数や関係の有無でなく、関係の『質』が大切。」

 

研究結果から得られた重要な教訓3

「よい関係は人の体を守るだけではなく、脳をも守ってくれる。」

 

75年にわたる研究の中で、最も幸福だったうちの1人は、仕事仲間を遊び友だちに変えてしまえる人でした。

ミレニアル世代を対象とした研究にあるように、いい人生を送るために名声やお金が重要であると考えている人は少なくありません。しかし、75年かけて何度も何度も証明されてきたのは、「自分は幸せだ」と感じる人は、家族や友人、コミュニティーなどと関係を持ってきた人だということです。

トム・ソーヤーの冒険の作者であるマーク・トウェインは「人生は短く、他人と言い争い、謝罪し、胸にわだかまりを抱え、最後の審判を待つような時間はない。人生にあるのは人を愛する時間だけだ。たった一瞬の人生は、そのためだけにある」という言葉を残しています。家族など、人は関係が近くなりすぎると問題を抱えがちですが、50代、あるいは80代の時にどのような人間関係を持っていたいか、今一度考える必要がありそうです。

 

 

 ところで、企業経営やステークホルダーとの関係づくりについてはどうだろうか？

これらは何も新しい考え方や賢人のメッセージではなく、昔から気づいている人は気づいている領域であるということです。近年のグローバルトレンドや文化の方向性は常に新しいものを求め、今まで重要とされてきた考え方を否定し、個性を前面に出す傾向にあります。それは決して悪いことではないし、ヒトが生きていく上で発生しうる多様性のひとつです。ただ、大事なことは「完全なる否定」ではなく、「すべてを受け入れたうえで取捨選択する」という思考過程であり、ヒトとしての柔軟性ではないだろうか。

100％正しいコトなんてどこにもない。逆に100％間違っているコトもどこにもない。まるで禅問答のようですが、、

まずは目の前の事象をひとつの事象として捉え、自分なりに理解し、それを受け入れるコト。その先にどういう判断・行動をするかは人それぞれである。その結果として、本当の意味の「スロー（本質的）」につながるのではないだろうか。

 

翻って、企業経営や関わるステークホルダーとの関係づくりにおいても同じことが言えます。

何かしらの意思決定をする際に、指先反射的な即断即決ではなく、その時点での取得可能な情報をもとに状況を整理し、判断前に一呼吸置く感覚。考えやデザインの素案を寝かせる（＝熟成させる）感覚と同じく。そういった「スロー（本質的）」なアクションこそ、長い目で見た良い企業経営につながるだろうし、そういう思考のもとに積み重ねられた企業は、事業継続性も自然と高まるのではないか。また、その企業に関わすステークホルダーとの関係においては、その企業に対して愛情＝ブランド性を感じて付き合ってくれる方々が自然を増えるのではないだろうか。顧客、パートナー、従業員、株主、いろいろなポジションにおける企業メンター達などとの関係性において。

 

こういうスピード感が求められる時代だからこそ、あえての丁寧なコトの進め方。

スピード感を持って進める領域と、丁寧に進めていくべき領域の切り分け。

量より質。身の丈に合わせたリアリティの実現。戦略的思考とデザイン的感覚の掛け算。右脳と左脳の融合。

その感覚こそが、いまの不確かな時代を企業が生き抜くための大きな要素ではないかと私たちフルスロットルは考えます。