技術ブランディングとは、販売する製品やサービスをブランドとするのではなく、企業の内部に有する素材・部品・システムなどに関する独自の技術に着目して、技術ブランドとして構築することを言います。最近の広告では、販売する製品の名称以外にも、独自の技術に分かりやすい名称を付けて、顧客に宣伝することが増えています。電気製品の広告で新しい加えられた機能の内容を紹介したり、自動車に独自の技術内容を用いるにあたり新しい名称を使用することなどが技術ブランディングの分かりやすい例です。効果的な技術ブランディングは、製品やサービスの名称とともに、顧客の対象となる人たちに大きな印象を与えることができます。
世界初や業界最高水準などのような言葉を使い自社の技術をブランド化するようなことは以前からありましたが、最近になって技術ブランディングが注目されるようになったのは、インターネットなどが普及して、企業の提供する製品やサービスの内容を利用者が詳しく知ることができるようになったことと関係しています。
従来であれば、印象的な名称や外観だけで商品が売れるような状況でしたが、商品に関する情報が豊富になるにつれて、より詳しい情報をもとにして商品やサービスが選ばれるようになったのです。そして、インターネットの普及はマーケットを世界的な規模に拡大させて、企業間の競争をさらに激化させたことも原因となっています。そのため、消費者などが理解しやすいように、使用されている技術をブランド化することによって、技術内容を理解して評価してもらうことが大切なのです。
一度技術の内容について理解をしてもらえれば、大々的な宣伝をしなくても、他の企業の商品やサービスと差別化することが可能となって、売り上げの向上を期待することができるのです。これは、一般消費者をターゲットにした商品だけではなく、企業向けの商品やサービスであっても同様です。同業他社の製品と差別化するために自社の独自の技術をアピールしなくては、価格競争に陥ってしまいます。価格だけの競争になってしまうと、国内だけではなく人件費などが安い海外の企業も参加してきますので、顧客を獲得するのが大変に難しくなりますし、例え取引することができても、大きな利益を得るのが難しくなってしまうでしょう。企業が健全な経営を続けるためには、商品やサービスに付加価値を与える技術ブランディングが不可欠となっているのです。
このように企業にとって重要となる技術ブランディングは、他の企業の製品などとの差別化を明確にして顧客を増やすのに役立つ以外に、企業や商品のイメージを向上する効果もあります。すぐれた技術を持つ企業は、先進的な開発体制や優秀な社員がいることの証明ですし、他社の商品にはない技術を備えていれば他の面で劣っていても購入してもらえるでしょう。
技術ブランディングを構築する際に注意しなくてはならないのは、技術に関して何も知らない人にも分かりやすいものとすることです。技術的な内容は専門的なことも含まれるために、単に事実だけを示すだけでは一般の人に理解してもらえないだけではなく、興味を持ってもらうことはできません。
難解な専門用語を並べたのでは顧客を遠ざけてしまうことになりかねませんので、少ない情報で技術を理解してもらえるような技術ブランディングが重要となってきます。常に利用者の視点でブランドを構築するように心掛けて、なるべく容易に理解できるようにするべきですので、商品やサービスに使用されている技術のことを知っているだけではなく、マーケティングのことも理解している人が技術ブランディングを構築する際には必要となってきます。